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成層圏オゾンの分解やエアロゾル生成など気象や大気環境に影響を与える化合物として、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compound, VOC)が知られている。例えば汚染の少ない外洋上の大気中で硫化ジメチル等が自然起源のエアロゾル生成に関与し、雲の生成に影響する可能性が指摘されている。本実験から、緑藻Dunaliella sp.が有菌及び無菌培地においてモノハロメタン及びCH2I2を生成することが判った。過去の文献において、植物プランクトンの防衛の手段としてVOCが生成される可能性が指摘されているが、本実験においても外的ストレスとなりうるバクテリアとの共存がVOC生成量に影響した可能性が考えられる。今後は、他の植物プランクトンとバクテリアの共存においても同様のことが起こるか詳細に調べていく必要がある。