非海塩性の硫酸エアロゾルは、化石燃料の燃焼や、火山噴火由来の二酸化硫黄、海洋植物プランクトン起源の硫化ジメチルなどの大気中酸化反応により生成する。これはアルベドを変化させて地球の熱収支に影響するだけでなく、雲凝結核として雲の生成に関与する。また、大気汚染物質として人体に健康被害を与える。その為、非海塩性の硫酸エアロゾルの濃度分布や生成機構の解明は、気候システムや大気汚染問題を理解する上で重要である。本研究では、大陸からの長距離輸送の影響を受けやすい能登半島においてエアロゾルの捕集を行い、イオン成分の濃度分析を行った。また、三酸素同位体組成(Δ17O = δ17O – 0.52 × δ18O)が大気化学反応の履歴を保存するという特性を活かし、非海塩性の硫酸エアロゾルのΔ17O 値の分析に基づき、能登に飛来するエアロゾルの生成機構を考察した。