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クロロメタン及びブロモメタンは成層圏オゾンの分解に関与することが知られているが、その生成源の1つとして海洋バクテリアErythrobacter sp. が報告されている。本実験では培地中に添加するSAM(メチル基のドナー)の濃度を変化させてErythrobacter sp. によるモノハロメタン生成への影響を調べた。SAMのKm値を算出したところ、ブロモメタンの生成反応におけるKm値は0.2-0.9µmol/L、ヨードメタン生成反応では7µmol/Lとなった。ゲノム情報からハロゲンメチルトランスフェラーゼ(HMT)をコードすると推測された遺伝子を大腸菌に形質転換して15℃で48時間培養実験を行った結果、クロロメタンが約4nmol/L生成され、バクテリアの培養で見られた4nmol/Lと同程度となった。以上、Erythrobacter sp.によるモノハロメタン生成は、SAMを基質とするHMTによることが示唆された。