惑星大気中の化学成分は、化学反応、大気輸送、放出・沈着などの化学・物理過程により支配されている。これらの要因による大気化学種の濃度変化は、いくつかの連続の方程式により記述されるが、過程の連続性・複雑さにより、厳密に解くことはできない。そこで、適切な近似を施したモデル系を用いて数値シミュレーションを行うことで解を得る。本研究は、モデルをデータを直接得ることが非常に難しい地球の古代大気に対して適用することによって、古代大気中で起っていた現象の解明を目的とする。大気中に光学的に活性な分子が存在する場合、入射した太陽光はそれらの分子に吸収され、高度が下がるとともに減衰していく。この減衰の効果を分子の吸収断面積と濃度から計算することで、高度ごとの太陽光の強さと、それに伴った光解離反応の速度定数の変化をモデル内で動的に表現することが可能となった。本発表では、このモデルを地球の古代大気の還元的な条件下に適用した結果について述べる予定である。