日本地球化学会年会要旨集
2019年度日本地球化学会第66回年会講演要旨集
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G12 初期地球と生命起源の地球化学
初期地球の蒸発環境におけるリボースのリン酸化に対するホウ酸と尿素の影響
*平川 祐太掛川 武古川 義博
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p. 144-

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抄録

ヌクレオチドはRNAの単量体であり、生命にとって必要不可欠な物質である。現在の生命はリボースリン酸と核酸塩基の反応によってヌクレオチドを生合成しているが、先行研究の多くはヌクレオシドのリン酸化によって非生物合成を試みている。しかし、ヌクレオシドの合成反応は異性体が多く生成するという問題があり、初期地球においてヌクレオシドのリン酸化によってヌクレオチドが生成したのかは明らかでない。生合成と同様の経路でヌクレオチドを生成する場合、リボースのリン酸化が必要だが、リボースは不安定な糖であるため分解が予想される。本研究では、ホウ酸がリボースを安定化させる作用を持つことに着目し、ホウ酸とリン酸化触媒の尿素存在下でのリボースのリン酸化実験を行なった。実験の結果、リボースリン酸を含むリン酸化糖が生成していることが確かめられた。このことから、初期地球の尿素とホウ酸が存在する環境では、リン酸化したリボースが生成され、ヌクレオチドの生成に繋がっていったことが示唆される。

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