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本講演では無機分析化学の観点から、硫黄化学種の高感度定量に関する分析手法を比較し、将来的に大気化学分野で必要とされる分析法や分析感度について考えることで、大気中でどのような硫黄化学種の変化が定量的に起こっているのか、同位体分析を含めた物質収支の研究に生かしたい。大気中での重要な硫黄化学種の変化は、海洋中の微生物が放出するジメチルスルフィド(DMS)から硫酸塩エアロゾルに至る酸化経路での、DMSO、DMSO2、MSAの形成であり、ガスクロマトグラフィーやイオンクロマトグラフィーにより定量されている。これらの地球化学分野で用いる分析法に対して、工業分野でもDMSOやMSAの定量は重要であり、半導体や製薬の分野では他の定量手法がとられている。現在我々は、クロマトグラフィーとICPMSを結合することによる降水中硫黄化学種の高感度定量法の確立に着手しており、これらの現状を報告する。