エアロゾル中の燃焼起源鉄が自然起源鉄に対して4‰程度低い鉄安定同位体比を持つことを用いて、同位体と溶解率をもとに海洋エアロゾル・表層海水における起源別エアロゾルの寄与を推定した。外洋域のエアロゾル試料は鉄濃度が低く、粒径によらず地殻に近い同位体比を示した。一方、沿岸域の試料は鉄濃度が高く、微小粒子が粗大粒子に対して0.5-2‰程度低い同位体比を示し、燃焼起源鉄の寄与が示唆された。水への溶解率は微小粒子が粗大粒子に対して大きく、微小粒子の中でも同位体比が低いほど溶解率が高い傾向が見られ、高い溶解率を持つ燃焼起源鉄の存在が海洋エアロゾル中の溶解率を決める一因であると示された。混合式から、エアロゾル中の溶解性鉄のうち燃焼起源鉄が占める割合は、アジア大陸由来の空気塊を得たエアロゾル試料では特に大きく、最大80%程度あることが分かった。エアロゾルと海水の鉄濃度、同位体比の比較結果についても議論する。