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Baを主成分とするカルサイト構造の炭酸塩を合成し、その特異な挙動について報告する。Ba濃度の増加に伴ってカルサイトに帰属されるX線回折no反射が低角側にシフトし、イオン半径が大きいBa2+がカルサイトの結晶構造に取り込まれ、格子体積が増加したことを示している。得られた試料はカルサイト構造を保ったままBa濃度はBa/(Ba+Ca) = 0.65まで増加した。Ba濃度の増加とともに113反射が弱まり、消失した。この変化は炭酸イオンの無秩序化に対応する。本研究で観察された現象は室温条件であり、MDシミュレーションの結果からもカルサイトで報告されていた現象とは異なる挙動を示している可能性が高い。