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高度経済成長の結果、大阪湾は水質汚濁が進み赤潮の発生件数が急増した。この対策として昭和54年からCODのみを対象とした水質総量規制が実施され、平成13年からは窒素やリンも加わり水質は改善されてきた。しかし、近年大阪湾は窒素やリンが不足し、貧栄養による弊害も報告されるようになった。このような大阪湾を再び豊かな海にするためには、窒素やリンなどの栄養塩他、鉄などに代表される生物活性微量金属も必要といわれている。天然水中で鉄が安定に存在するためには有機リガンドが必要と言われている。天然に存在する有機物の中で腐植様物質は様々な有機リガンドをもち、鉄などの微量元素と錯形成し安定に存在すると考えられている。そこで本研究では、大阪湾を豊かな海に変えることを目的に、鉄などの生物活性微量金属を安定に大阪湾に供給するために、森林土壌から採取、抽出した腐植物質に生物活性微量金属を錯形成させることを目的に研究を行った。