高周波誘導結合プラズマイオン源質量分析法(ICP-MS法)は、大気圧高温プラズマをイオン源として用いた質量分析計であり、高感度かつ迅速な元素分析・同位体分析法として様々な分野で広く活用されている。 最近のICP-MS装置の分析性能の向上、特に分析感度やマトリックス耐性の向上に伴い、レーザー照射径やレーザーエネルギー(掘削深さあるいは速度を決定する因子)の自由度が広がり、固体試料の局所分析(約2µm~30µm程度)や深さ方向分析、さらには、試料の広領域(数百ミクロン角〜1cm角程度)の平均組成分析や元素イメージング分析(マッピング分析)が可能となった。 本講演では、高速多点アブレーション法を用いた固体地球化学試料の元素分析の実際と、高速多元素同時イメージング分析法やナノ粒子用ICP-MSを組み合わせたハイブリッドイメージング分析法に向けた装置開発の現状を紹介する。