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本研究は、圧力誘起重合反応の出発試料として結晶性の低いL-アラニンを用いることで、多量体生成量が増加するか調べることを目的としている。結晶性の低いL-アラニンを得るため、まずメノウ乳鉢を用いた粉砕実験を行った。粉砕したL-アラニンのX線回折パターンを測定したところ、粉砕時間に伴い回折線の半値幅が増加したことから、粉砕によりL-アラニンの結晶子サイズが減少したと考えられる。また、LC-MSでの分析結果より、粉砕により重合反応がわずかに進行することが示された。加えて、L-アラニンの水溶液を液体窒素内に噴霧し、急冷により非晶質物質を析出させたのち、真空中で氷を昇華させる凍結乾燥実験も行った。これらの方法で得た結晶性の低いL-アラニンを出発試料として室温高圧実験を行い、2量体と3量体の生成量を先行研究と比較して報告する。