群馬県と長野県の遺跡から出土した縄文・弥生時代人歯のコラーゲン炭素・窒素安定同位体分析を行ったところ、縄文早期〜後期の資料と比べ縄文晩期〜弥生時代の資料ではδ13Cが平均3.9‰高かった。この変化の要因としてC4植物に分類され、高いδ13Cを有するアワやキビなどの雑穀(C4雑穀)が考えられたが、そのほかに海生貝類が挙げられた。コラーゲンとアパタイトの反映する栄養素が異なることと、雑穀と海生貝類では栄養素の組成に顕著な差異があることを踏まえ、C4植物と海生貝類の摂取の区別を行うモデルを構築した。縄文晩期〜弥生時代のコラーゲンおよび新たに測定したアパタイトの炭素同位体比実測値は、C4雑穀の寄与率を20-80%とした場合のC3植物食動物とC4雑穀の混合モデルと整合的な結果であった。ゆえに、縄文晩期〜弥生時代の試料ではC4 雑穀の摂取が示唆され、これは考古学の研究でアワやキビの栽培が推論されていることと整合的である。