日本地球化学会年会要旨集
2020年度日本地球化学会第67回年会講演要旨集
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G8 地球深部から表層にわたる元素移動と地球の化学進化
高温高圧中性子回折からみた鉄水素化物の生成にニッケルが与える影響
*市東 力鍵 裕之柿澤 翔飯塚 理子森 悠一郎青木 勝敏齋藤 寛之阿部 淳佐野 亜沙美服部 高典
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p. 137-

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抄録

地球核は数wt%のニッケルを含む鉄合金と考えられるが、地震学的手法で観察される核の密度は鉄-ニッケル合金に比べて約5-10%低いことから、軽元素の存在が示唆されている。中でも水素は、合金の密度を大きく下げ、その固溶量によって相図を変化させる。本研究ではJ-PARC MLFのBL11において高温高圧下におけるFe0.9Ni0.1水素化物の中性子回折測定を行い、ニッケルが鉄水素化物の水素原子の占有サイトや相関係に与える影響を調べた。本実験での結果からFe0.9Ni0.1に固溶した水素は八面体サイトのみを占有することが明らかになった。また、単位水素当たりの鉄-ニッケル合金の膨張率を求めると、純鉄の膨張率に比べて有意に大きいという結果を得た。これは、鉄-ニッケル合金に水素が固溶すると、純鉄に水素が固溶するよりも密度減少の効果が大きいことを示唆している。

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