U–Th–Pb年代測定法は信頼性の高い年代情報を提供する手法として活用されている.近年,放射非平衡を考慮した年代計算法の開発,多重検出器型ICP質量分析法(MC-ICP-MS)の改良,高速多点フェムト秒レーザーアブレーション法(ms-fsLA法)の実用化により,ウラン濃度が低い,もしくは年代値が若い試料についてレーザーアブレーションICP質量分析法(LA-ICP-MS)を用いた局所年代測定が可能となった.しかし,ms-fsLA法を用いて試料の微小領域を測定する場合,得られる同位体信号は過渡的なものとなり,測定の正確性や繰り返し再現性を検討する必要がある.本研究ではms-fsLA-MC-ICP-MSを用いてジルコン,燐灰石,チタン石,柘榴石に対してU–Th–Pb年代測定を行い,得られる同位体比の正確性と繰り返し再現性の高さを実証した.一点の測定に要する時間も3秒程度にまで短縮され,様々な鉱物に対する高速高精度分析体制が整った.本講演では本手法の地質試料への応用について議論する.