主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2020年度日本地球化学会第67回年会講演要旨集
回次: 67
開催日: 2020/11/12 - 2020/11/26
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水銀(Hg)は生物に濃縮されやすく、微量であっても人体に影響を与える有害重金属である。このため、人への主な暴露経路とされる水圏における水銀循環の理解は重要である。水銀の安定同位体比変動は質量に依存する同位体分別(MDF:δ202Hg)および、質量に依存しない同位体分別 (MIF:Δ199Hg、Δ201Hg)に分類され、これらの指標を用いて水銀が経験してきた化学的 (光還元反応など)ならびに物理的(蒸発や拡散など)な現象の推定が可能であると考えられる。(Bergquist and Blum, 2007) また、水圏での水銀濃縮過程を包括的に理解するためには食物連鎖の最初期段階に位置する低水銀濃度試料の同位体比測定法を確立することが必要となる。しかしながら、魚介類の水銀摂取源である海藻やプランクトンについては水銀濃度が極めて低いため、現状では同位体比の分析が困難である。そこで、本研究では水銀濃度が極めて低い固体試料を対象とした水銀濃縮法および同位体分析法の開発を行った。