月の海は、部分溶融したマントル物質を起源とする玄武岩であり、放射年代測定によって月の火成史が制約される。 Northwest Africa(NWA) 4734は月の海を起源とするlow-Ti玄武岩質隕石で、放射年代測定により30Gaに結晶化したと推定されている。またNWA 4734は結晶化後に40GPa以上の衝撃圧力を経験したが、この二次変成を受けた年代は明らかにされていない。我々はSensitive High Resolution Ion MicroProbe (SHRIMP)を用いて、Shock Melt Vein (SMV)が認められるNWA 4734薄片中のアパタイトの局所U-Pb年代分析を行った。2つのUの放射壊変系は同じ絶対年代を示し(コンコーディア)、結晶化年代2970±40 Maを得た。さらにNWA4734のマグマソースは30±20の低いμ(238U/204Pb)値であると推定される。