日本地球化学会年会要旨集
2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
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G08 地球深部から表層にわたる元素移動と地球の化学進化
アンデス南部火山地帯,第四紀島弧火山岩類のマグマ成因:ホウ素を含む全岩化学組成の特徴からの制約
*佐藤 亜樹折橋 裕二中井 俊一新正 裕尚Jose Antonio Naranjo高久 雄一淺原 良浩安間 了
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p. 118-

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抄録

本研究は,複数の断裂帯が沈み込む,アンデス南部火山地帯(SVZ)の16火山における第四紀火山岩類のホウ素を含む全岩化学組成から,マグマ成因の考察を行った.結果,SVZは断裂帯の影響よりも火山フロントから背弧にかけて,流体量と部分溶融度の増加を示す.また,背弧火山の多くは,ざくろ石と堆積物メルトの関与を示唆する.Hickey-Vargas et al. (2016)は,Villarrica火山周辺域で島弧玄武岩マグマがリソスフェア最下部で付加・固化し,ざくろ石輝石岩層となり,次のマグマで再融解されたとした.Kay et al. (2005) は新第三紀島弧火山岩類の特徴から,当時の卓越した沈み込み浸食で堆積物成分が供給されたとした.そこで,以下のマグマ成因シナリオを提唱する;1) 新第三紀の沈み込み浸食で,堆積物の影響を受けた島弧玄武岩マグマが生成され,リソスフェア最下部にざくろ石輝石岩層を形成する.2) 第四紀以降,マグマ生産量の少ない背弧では,ざくろ石輝石岩メルトの影響を強く受ける.

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