沈み込み帯における脱水過程において、Moは脱水プロセスを解明する新たなトレーサーとして注目を集めている。先行研究[1]では、伊豆諸島の五つの島を対象に研究を行っている。本研究では伊豆大島・新島に加え、新たに神津島の玄武岩質捕獲岩の三つの火成岩試料に対象に、TIMSを用いてMoの安定同位体組成を測定した。 Moの安定同位体組成は前弧側の伊豆大島でδ⁹⁸/⁹⁵Mo=0.13±0.09~-0.11±0.09、背弧側の新島・神津島でそれぞれ-0.27±0.09、-0.15±0.07という値を得た。前弧側よりも背弧側のδ⁹⁸/⁹⁵Moの値が小さくなるという結果は先行研究[1]の結果と一致する。しかし、新島と神津島を比較すると、より背弧側の神津島のδ⁹⁸/⁹⁵Moの値が高くなる。これは、二次変質や噴出時期などの沈み込みプロセス以外の影響を受けた可能性を示唆する。[1] Villalobos-Orchard, Javiera, et al. (2020): 68-82.