主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
回次: 68
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/15
p. 124-
地球内部に起源を持つヒ素と水銀の地質学的循環に伴って発生する地下水・土壌汚染について概説する。ヒ素と水銀は火成作用に伴って、マグマやマグマ性流体とともに地殻・水圏・大気圏に移動する。ヒ素は新生代堆積物にも深刻な汚染が発生してきた。降下火山灰と流域母岩に含まれる熱水性・マグマ性のヒ素含有鉱物の溶解が主な原因である。一方、水銀は気体として振る舞う性質が強いことから、大規模な断層に沿って土壌ガスとして地表に放出されることがある。大阪平野の境界断層である、生駒断層・上町断層・内畑断層系の直近で、水銀を含む浅層地下水や土壌中での水銀の濃集が観察される。水銀汚染地下水出現地点は深部低周波地震の震源と重なることも多い。また、和泉山脈では、MTL直近で最大の1200ppbの水銀が検出された。水銀は有馬型塩水と類似の起源を持つことが強く示唆される。