主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
回次: 68
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/15
p. 35-
人への水銀の曝露源としては、海産物中のメチル水銀の影響が大きい。そのため、海洋中の水銀挙動、特にメチル水銀の生成と消失の過程を明らかにすることは重要である。しかし、海洋中で水銀は、モノメチル水銀、ジメチル水銀、2価の無機形態の水銀及び金属水銀といった形態で共存しており、メチル化の過程は複雑である。本発表では、報告例の少ないジメチル水銀について、水銀同位体トレーサーを用いた実験を行った結果を報告する。 結果として、加熱脱着炉付-ICP-MS/MS測定において、安定的な値を得ることが出来ない試料が複数存在した。これはジメチル水銀の生成速度が遅いため、添加した水銀同位体の量では定量下限値以下となったことが原因と考えられる。次回の実験では添加量を増やして実験を行う予定である。信頼性のある測定値を得ることが出来た試料の中では、過去の研究と同様に溶存酸素極小層での試料で、最もジメチル水銀の生成率が大きい結果となった。