日本地球化学会年会要旨集
2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
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G03 海洋の地球化学
塩化水銀によって殺菌した海水試料中の硝酸イオンの窒素・酸素安定同位体比定量法の検討
*小松 大祐富所 春奈成田 尚史三野 義尚脇田 昌英角皆 潤
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p. 34-

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抄録

NO3-の濃度と安定同位体組成は,硝化, 同化, 脱窒といった微生物活動に伴って変化するため,微生物活動を停止させ,試料の長期保存を目的として,殺菌剤である飽和HgCl2を試料に対して0.1~0.4 %加える場合がある.HgCl2によって殺菌済みの海水試料を,通常の海水試料と同様にカドミウムカラムに通水したところ,通水前後でNO3-からNO2-への還元率は98%から83%に著しく低下したため,添加されたHg2+を除去する必要があることが分かった.そこでキレート樹脂を用いて選択的にHg2+を吸着処理する方法を検討し,バッチ法で樹脂を加えて処理したところ,還元率98 %以上を維持できた.さらに安定同位体組成は,HgCl2の添加の有無に有意な差はみられず,非滅菌試料分析時と遜色ない結果が得られた.以上を踏まえ,西部北太平洋亜熱帯定点S1(北緯30度, 東経145度)に1年間係留して得られたRASを用いて採取した試料に応用した結果を紹介する.

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