地球形成初期のマントルの交代作用が起きた環境の推定を目的とし、グリーンランド西部の太古代の超苦鉄質岩中の流体包有物の希ガス分析をおこなった。試料はISB(Isua Supracrustal Belt)のダナイト及び近隣のUjaragssuit nunãt地域に産するクロミタイトである。いずれの試料も複雑な変成・変質履歴をもつことが先行研究や薄片観察より伺える。予察的な分析においてダナイト・クロミタイトからそれぞれ分離したオリビン・クロマイトの希ガス(He,Ne,Ar,Kr,Xe)同位体比を得た結果、いずれの試料からもU,Th,Kの放射壊変由来の希ガスが大量に含まれることが明らかとなった。一般的なダナイト・クロマイトにおけるU, Th, K濃度を仮定した場合に、年代を考慮しても試料中の高い4He・40Ar濃度は説明できないことから、高濃度のU, Th, Kを含む流体が寄与したことを示唆する。今後は流体包有物の顕微ラマン分光分析により交代作用が起きた環境の制約を目指す。