日本地球化学会年会要旨集
2022年度日本地球化学会第69回年会講演要旨集
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G7 素過程を対象とした地球化学
2:1型層状ケイ酸塩の構造中の鉄による酸化還元反応: 環境中の電池としての役割
*高橋 嘉夫清水 優希河合 敬宏蓬田 匠竹田 早英桂板井 啓明田中 啓資孫 静福士 圭介田中 雅人
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p. 29-

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抄録

スメクタイトなどの2:1型層状ケイ酸塩は、環境中に普遍的に存在し、物質循環において様々な役割を担っている。特に層構造が持つ負電荷と大きな比表面積から、主に陽イオンの吸着媒として重要である。一方で、スメクタイトの八面体層構造中の鉄(Fe)は、Fe(II)とFe(III)の両方をとることができ、その価数変化により環境中の酸化還元反応に寄与することが知られている。またその価数変化は、幅広い酸化還元状態(Eh)に渡って変化すると共に、同じスメクタイトでも、モンモリロナイト、ノントロナイト、サポナイトなど、構成元素や鉄濃度が異なる場合に、カバーするEh範囲が異なるという特徴を持つ。我々は、異なる酸化還元環境に応じてスメクタイト中のFe(II)/Fe(III)比が変化することから、同じスメクタイト中の鉄が酸化剤と還元剤のいずれかで働く複数の現象について並行して研究をしており、それらを紹介することで、2:1型層状ケイ酸塩が環境中の電池として果たす役割について議論したい。

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© 2022 日本地球化学会
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