日本地球化学会年会要旨集
2022年度日本地球化学会第69回年会講演要旨集
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S2 太平洋プレートの変遷史
北西太平洋におけるFe-Mnクラストの成長速度変化の要因;Os同位体層序年代からの制約
*小林 英史鈴木 勝彦臼井 朗常 青眞壁 明子柏原 輝彦折橋 裕二
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p. 65-

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抄録

海山の斜面などに層状に成長するFe-Mnクラスト(以下クラスト)は成長速度が百万年に数mm程度と非常に遅く,海域・水深によって成長速度が異なることが報告されている.そこで,本研究では大陸縁辺と遠洋域に位置する海山(北西太平洋)で採取されたクラストを対象にOs同位体比と化学組成の分析を実施した.テクトニクス場・海洋環境が大きく異なる条件で堆積したクラストの生成年代・成長速度を比較することにより成長速度変化の要因を検討した.その結果,Os同位体層序年代から得られたクラストの成長速度は大陸縁辺と遠洋域で明瞭な違いを示した.遠洋域のクラストの成長速度が変化しないのに対して大陸縁辺のクラストは成長過程で成長速度が大きく変化していた.本研究における大陸縁辺に位置する海山は斜面崩壊が確認されるなどテクトニクス場的に安定でない環境下でクラストが成長している.このことから砕屑物由来物質が成長時に取り込まれることによって見かけ上の成長速度が変化したと考えられる.

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© 2022 日本地球化学会
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