韓国の沃川変成帯(Okcheon metamorphic belt)は、ウランとバナジウムの豊富な黒色粘板岩が広範囲に分布していることから注目を集めている。本研究では、岩石記載学と化学分析結果に基づき、報恩(Boeun)地域における黒色粘板岩の生成環境を理解することを目的にする。黒色粘板岩は鉱物組織と有機炭素の濃度に基づいて、炭質粘板岩(Coaly slates)と再分類された。また、炭質粘板岩体中の硫化物細脈にはマグマ性熱水と海水の混合によって多様な硫化物種が産出された。さらに、これらの硫化物細脈の主な鉱物には、熱水変質の痕跡が残っていた。炭質粘板岩中には、ウラン(av. 66ppm)とバナジウム(av. 0.9%)の高濃度が認められた。ウラン鉱物(i.e., uraninite)の主な形成には、石英、硫化物、リン酸塩鉱物(e.g., xenotime, monazite, apatite)、炭質物、白雲母が関与した。炭質粘板岩中のウラン含量に関しては、TS, P2O5, TOC, Fe2O3の含量と正の相関が確認された。また、ウランの濃縮は、酸化還元に敏感な元素(Mo, V, Zn, Ni, Co, Cu)の挙動と関連した。炭質粘板岩中の白雲母は、主なバナジウム供給源(av. 1.6%)と考えられた。例えば、バナジウム含量に関しては、TN, Al2O3, Ga, Nb, Zr, Cr, REEの含量と正の相関が確認された。さらに、研究地域のC-N-S-Fe同位体比の特徴から考えると、炭質粘板岩中のウランとバナジウムの濃縮は海底熱水環境で促進されたと推定された。