主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
回次: 70
開催日: 2023/09/14 - 2023/09/24
p. 177-
食品の安全性に対する消費者の関心が益々高まる中,食品の産地表示の正しさを担保する産地判別技術の開発が求められている.農産物中の放射起源ストロンチウム同位体比(87Sr/86Sr)は生育土壌の87Sr/86Srを反映するため,87Sr/86Srは食品と産地を結びつけるトレーサーとしても有用であると考えられている.地球化学の分野では地質年代測定等の目的で87Sr/86Sr測定が盛んに行われており,その中で用いられるSrの化学分離技術およびマルチコレクター型ICP-MSによる高精度87Sr/86Sr測定技術は,農産物分析への適用も期待される.農産物の試料特性としてSr濃度が低いこと,有機物や夾雑元素を多く含み試料組成が複雑であることが挙げられ,農産物中87Sr/86Sr測定においてはSrの高精度な化学分離が特に重要である.本研究では,Eichrom社製のSrレジンを用いたSr分離とMC-ICP-MSを用いた87Sr/86Sr測定によって,農産物の中でも特にSr濃度の低い穀類(小麦粉,Sr < 1 mg kg-1)を始めとするアメリカ国立標準技術研究所頒布の農産物系組成標準物質中の87Sr/86Srの測定を試みた.