日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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G2 環境地球化学・放射化学
微量元素濃度およびリチウム同位体比による熊本地域広域地下水の起源推定
*髙橋 誠拓栗林 千佳相原 泰斗細野 高啓谷水 雅治
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p. 40-

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抄録

地下水中に溶存する硝酸性窒素や有害元素の濃度上昇の原因を特定するためには、地下水の起源を正確に把握する必要があり、元素の同位体比がトレーサーとして利用されている。特にリチウム同位体比は、海水や熱水を起源とする地下水の流入の有無の推定に有用である。本研究では、熊本地域の地下水について微量元素濃度および7Li/6Li比を分析し、その起源を把握することを試みた。ICP-MSを用いて分析を行った結果、熊本市北部に位置する金峰山の東部で、先行研究で得られた熊本地域地下水の代表的なδ7Li値と整合的な値をとった。また、金峰山の北側から東側にかけて高Li濃度かつ低δ7Li値をとる地点が複数存在した。これは火山性熱水が浅層地下水に流入している可能性がある。一方、金峰山の南側から有明海にかけて高Cl/Li濃度比かつ高δ7Li値をとる地下水が存在しており、地下水に化石海水が混入している可能性が考えられる。

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