日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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G3 海洋の地球化学
東部インド洋における海水中Te化学種の分布と海洋学的特徴との関連について
*深澤 徹小畑 元則末 和宏
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p. 55-

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抄録

テルル(Te)はDVDに使用されるなど、工業的な価値が高い希少元素である。海底の鉄マンガン酸化物はTeのホットスポットとして知られ、地殻平均濃度に対して104倍以上のTeを含む。Teは海水中ではTe(IV)とTe(VI)の異なる酸化数で、どちらも2 pmol/kg以下の極めて低濃度で溶存しており、Te化学種間の濃度分布や酸化還元反応は、Teの海洋地球化学的サイクルを理解する上で重要である。しかし、海水中Te化学種は分析が難しく信頼できるデータは少ない。我々は海水中Te化学種の分析法を開発し、これまでに亜寒帯西部北太平洋BD7におけるTe化学種の鉛直分布を明らかにした。BD7では、Te(IV)、Te(VI)濃度はどちらも表層で高く、深層で低い除去型の鉛直分布を示し、酸化的海洋ではTeは粒子状物質へと吸着し、深層へ輸送されることを示した。本研究では、西部北太平洋とは対照的に、貧酸素水塊が発達した海域を含む東部インド洋を対象として、KH-18-6次研究航海Leg.2で得られた海水試料中のTe化学種を分析し、それらの濃度や濃度比の分布と東部インド洋の海洋学的特徴との関連を考察した。

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