ベンガル湾における微量金属元素の分布とその循環

抄録

ベンガル湾は、ガンジス川からだけでなく、エアロゾルや還元的な沿岸堆積物からも物質の供給を受けている。しかし、ベンガル湾における微量金属元素の分布やその挙動はまだ十分に解明されていない。そこで本研究ではベンガル湾における海水中の微量金属元素(Fe, Mn, Pb, Cd, Cu, Zn)の分布を明らかにした。海水試料は2013年の白鳳丸KH-13-4次研究航海においてクリーン採水法により採取された。キレート樹脂を用いたカラム濃縮法により分離したサンプル中の微量金属元素を高分解能ICP質量分析計により測定した。表層水中の溶存態鉄濃度は低塩分水中で高濃度になる傾向が見られたが溶存態マンガンには同様の傾向は見られず沿岸堆積物などの供給が影響していると考えられる。一方、溶存態鉛濃度は表層で太平洋などよりも高く、大気を経由した人為起源物質の供給も表層に大きな影響を及ぼしている。