日本地球化学会年会要旨集
2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
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G5 古気候・古環境解析
千葉複合セクションに記録された葉ワックス水素同位体比分析による地磁気逆転前後の水循環変化
*梶田 展人関 宰山本 正伸大河内 直彦岡田 誠羽田 裕貴菅沼 悠介
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p. 109-

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抄録

地磁気逆転時には、地球に入射する高エネルギー粒子(銀河宇宙線)が大幅に増加する。銀河宇宙線は、大気のイオン化を促進して雲量を増加させ、気候に影響を与えるという仮説がある(スベンスマルク効果)。本研究では、松山―ブルン境界を含み海洋酸素同位体比ステージ20から18をカバーする、房総半島の千葉複合セクションの堆積岩試料から抽出した、n-アルカンの水素安定同位体比(δD)を分析した。n-アルカンのδDは、氷期間氷期サイクルとは同調せず、地磁気逆転の前後でのみ高い値(約-160‰)をとり、それ以外の期間は低い値(約-200‰)を示した。n-アルカンのδDは、植物の生理学的な効果(蒸散)に加えて、降水のδDを反映しやすいとされている。地磁気逆転前後の期間において、植物をとりまく温度条件は大きく変化していないと推定されることから、東アジアモンスーンの変調によって集水域にもたらされた降雨のδDが高くなったと考えられる。

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