主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
回次: 71
開催日: 2024/09/18 - 2024/09/20
p. 110-
アイスコアから気候を高時間分解能で復元する研究では、季節周期を持つ複数の化学成分が用いられてきた。しかし一般的な極域アイスコアは、涵養量の低さによって拡散等の影響を受けるため、年代決定の時間分解能は夏と冬の二点が限界であった。本研究では季節スケールでの気候変動の解析を可能にすることを目的とし、グリーンランド南東部の高涵養地域で掘削されたSE-Dome II (SE2)アイスコアの酸素同位体比(δ18O) 記録を用いて数カ月分解能の年代軸を構築した。アイスコアと大気循環モデルの降水同位体のδ18Oパターンをマッチすることで年代決定し、新たに20世紀気象再解析データを用いた。年代決定に用いたδ18Oの1年内の複数ピーク(4.0, 2.9カ月の卓越周期)の解析結果から、夏にδ18O値が低い日にグリーンランド南西に低気圧が発生していたことが明らかになった。また、H2O2濃度に本研究の年代軸を適用したところ、濃度の極大・極小は夏至・冬至から15~30日程度遅れていることが分かった。