主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
回次: 71
開催日: 2024/09/18 - 2024/09/20
p. 11-
完新世中期および最終間氷期には地球軌道要素が異なる値をとり、産業革命以前よりも温暖な気候が実現していた。完新世中期には、日射量の緯度季節分布の違いによって引き起こされる南極域の成層圏オゾン分布の変化と関連した南半球の偏西風の弱化が南大洋の海氷の縮小を引き起す可能性が指摘されている(Noda et al., 2017)。本研究では、MRI-ESM2.0(Yukimoto et al., 2019)を用いて、完新世中期に加え最終間氷期の成層圏オゾン分布を推定した。完新世中期条件では先行研究と整合的な南極域の成層圏オゾン層分布が再現された。南半球の偏西風は完新世中期も最終間氷期も南半球冬に上部成層圏で強まった。これは先行研究とは逆の結果であり、先行研究で示唆された海氷縮小のメカニズムは機能せず、むしろ日射量変化に対する成層圏の気温変化が当時の偏西風の強度に影響している可能性が示唆された。