主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
回次: 71
開催日: 2024/09/18 - 2024/09/20
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過酸化水素(H2O2)は、オゾンやOHラジカルと並び、大気中で酸化剤として働く成分の一つである。大気酸化剤は、温室効果ガスの酸化除去やエアロゾル生成に関わるため、その濃度や生成・消失プロセスの理解は、大気中の物質循環の理解における重要な課題である。大気酸化剤は、人間活動による排出によって変化してきたと考えられているが、産業革命以降から現在までの連続した観測データは存在しない。これに対し、アイスコア中のH2O2濃度は、大気酸化力の変動に関する情報が抽出できるプロキシとして期待されている。本研究では、グリーンランド内でも涵養量が多く(> 1 m w.e. yr-1)、H2O2のような半揮発性成分の保存性が良い南東ドームコア(SE-Dome IIコア)を主軸に、全4地点のアイスコア中のH2O2濃度を比較し、産業革命以降の長期変動要因の理解に取り組んだ。