日本地球化学会年会要旨集
2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
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G1 大気とその境界面における地球化学
北太平洋亜熱帯域のマイクロレイヤーにおける揮発性有機化合物の生成過程に関する実験的解析
*大森 裕子Uning Royston谷本 浩志
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p. 14-

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抄録

大気中に分布する揮発性有機化合物(VOC)の放出源のひとつに、海表面に形成される厚さ1 mm以下の微薄層であるマイクロレイヤーが知られる。しかし、マイクロレイヤーにおけるVOCの生成過程やその放出量の情報はわずかである。そこで本研究は、マイクロレイヤーを用いた培養実験を実施し、VOCの主要な生成過程である海洋微生物による代謝活動と太陽光照射による有機物の光化学反応の寄与とVOC放出量を評価することを目的とした。その結果、マイクロレイヤーからの硫化ジメチルとアセトアルデヒドの放出量の大半は微生物活動に起因した。一方、アセトンの生成要因は、下層海水では光化学反応が100%を占めたが、マイクロレイヤーでは光化学反応が約70%で約30%は微生物活動による生成と見積もられた。このことから、マイクロレイヤーでは光化学反応だけでなく微生物活動もアセトンの生成に寄与することが示唆された。

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