2024年3月に霧島硫黄山にて,同一噴気地帯内の異なる3つの噴気孔 (H, Y2, Y3) から放出される噴煙それぞれについてTakahashi et al. (2019) の手法を用いて水蒸気同位体組成を求め,従来法である凝縮水試料の採取と同位体分析も実施した.その結果,3つの噴煙は相互に異なる水蒸気同位体組成を示し,その相対値は観測時の気温におけるレイリー分別を仮定した時の同位体分別線上にプロットされた.この分別値を天水-マグマ水混合線上に外挿した時の同位体組成はマグマ水推定値と一致し,その値は凝縮水試料の同位体組成と概ね一致した.そのため,噴気孔から放出された水蒸気の一部はすみやかに凝縮して噴煙から除去されている可能性が高い.