日本地球化学会年会要旨集
2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
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G9 地球化学の最先端計測法の開発と挑戦
ICP-MS/MSを用いた海水及び海藻中の236U/238U分析法の開発と233U分析への応用
*柴 裕太朗上田 修裕深海 雄介大野 剛
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p. 217-

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抄録

海洋環境中の236U、233Uは人為起源の放射性核種として知られている。236Uは大気圏内核兵器実験だけでなく、原子力発電所における235U(n,γ)236U反応によって恒常的に生成される。一方、233Uは大気圏内核兵器実験による235U(n,3n)233U反応のみであるため、近年、233Uを用いた233U/236Uが海洋環境中の人為的発生源を解明する有用な指標として注目されている。本研究では迅速分析が可能なICP-MS/MSを用いた海水及び海藻中の人為起源U同位体比測定を試みた。2022年に小笠原諸島で採取された海水、2023年に千葉県、三重県、浙江省で採取された乾燥ヒジキを測定したところ、236U/238Uは10-9レベルの値であり、それぞれの地点で採取されたヒジキは誤差範囲内で一致した。これらの同位体比より、ヒジキは海水中のUを有意に取り込んでいると判明した。海藻は海水よりも238U濃度が約100倍高いため、海洋トレーサーとして用いられるU同位体比を調べるための新たな環境試料として期待できる。また、ヒジキ中の233U/238U(×10-11レベル)の測定に成功した。

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