環境中の希土類元素パターンの中でランタン(La)の異常についてはその原因などについて不明な点が多い。本研究では札幌市の下水汚泥とその焼却灰中の希土類元素パターンを分析した。札幌市の2ヶ所の汚泥焼却場から採取した焼却灰と脱水汚泥サンプルを分別逐次抽出と分解を行い、希土類元素を測定した。その結果、残渣中にはLaの異常はないが、他の成分には顕著なLaの正の異常が見られた。汚泥焼却灰の希土類元素濃度は脱水汚泥に比べて一桁高く、最初の酢酸抽出液の希土類元素濃度はクエン酸や塩酸の抽出液よりも一桁低かった。残渣にLa異常が見られないことから、La含有ゼオライトに起因する可能性は否定された。このLaの異常は、腎不全や透析患者に投与されるリン酸結合剤である炭酸ランタン錠剤(ホスレノールなど)に起因すると結論付けた。また、この研究は、炭酸ランタンの使用が自然の希土類元素パターンを乱す可能性を示唆している。