日本地球化学会年会要旨集
2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
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G10 地球化学全般(地球化学の融合セッション)
南半球高緯度の白亜系研究からみえてきたアルケノン古海洋学の課題と将来展開
*長谷川 卓
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p. 230-

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抄録

炭素数40のアルケノンは白亜系からも知られているが,2不飽和分子と3不飽和分子の同時検出は例がなかった.講演者らは白亜系約94Maから初めてそれらを連続検出し海洋無酸素事変2の有機炭素埋没に伴う寒冷化を議論した.地質試料では生産時は全てZの不飽和部位のうち1つがEになった異性体が存在することがあり,GC上で2不飽和分子の異性体が3不飽和分子に重複し,含有量評価や認識そのものさえ困難だが,中極性カラム適用で解決できることが判った.またGCMSを用いる微量分析の有用性が浮上した. SIMモード分析では従来検出できなかった微量アルケノンを検出でき,白亜紀サントニアン,暁新世からの世界初検出を含む成果を得た.今後化学イオン化やGCMSMSを用いて試行錯誤を進め定量化法を構築したい.従来の1/100で分析可能になればアルケノン古水温計の応用範囲は飛躍的に高まり,古海洋科学に革命をもたらす可能性がある.

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