主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
回次: 71
開催日: 2024/09/18 - 2024/09/20
p. 235-
上部マントルのレオロジーを支配するかんらん石の変形特性は、温度、圧力、差応力、含水量、微細構造により変化する4つのメカニズムで記述される。中でも粒界すべり(GBS)クリープは沈み込み境界のような低温かつ高差応力条件で優勢となり、粒径に応じて変形強度を変化させる性質を持つ。発表では、天然の含水かんらん岩の解析に基づいて、様々な動的再結晶過程がかんらん石の細粒化を引き起こし、変形メカニズムが粒径非依存型から粒径依存型へ遷移し、競合した実態を紹介する。歪みエネルギーによる動的再結晶による弱化と粒成長による硬化を引き起こす条件では、非定常的な挙動が本質かもしれない。その支配要因となる新粒子形成メカニズムを速度論的に記述する実験研究や、天然での複合的産状の解析は、マントルウェッジ先端部の歪み解消過程の理解に重要であろう。