海水起源の鉄マンガン酸化物には、その成長過程における起源海水のNdおよびPb同位体組成の変化が記録されている。南鳥島周辺の日本の排他的経済水域において高い密集度で分布するマンガンノジュールは、5,000 m以上の大水深域に存在し、その成長を通じて底層水のNd-Pb同位体比長期変動を記録していると考えられる。本研究では、1.5 mm径のタングステン製マイクロドリルを用いて試料の切断面から採取した粉末試料を用いて、一連のカラム処理により分離したNdおよびPbの同位体比を分析した。ノジュール表面から核近傍にかけての同位体組成分析の結果を報告し、これらの同位体比の変化が示唆する北西太平洋底層水の特徴の変遷について議論を行う。