主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
回次: 71
開催日: 2024/09/18 - 2024/09/20
p. 260-
海洋プレートの形成過程や海底火山活動の実態、そして地球の深海盆環境の理解にあたって海底の火山活動史を解明することが必要である。しかし、10万年よりも最近に形成された海底玄武岩の絶対年代の測定は一般に難しい。一方で、過去の地磁気の強さ(古地磁気強度)は、特徴的な年代指標の一つとして海底玄武岩の年代推定に応用可能だと期待されている。本研究(Yoshimura and Fujii, 2024, EPS)では、中央インド海嶺の海底拡大軸部に位置する円錐状の火山体から採取された全岩海底玄武岩を対象にTsunakawa-Shaw法を用いた古地磁気強度復元と岩石磁気実験を実施した。玄武岩試料は全て深海潜水調査船支援母船よこすか(YK05-16航海)の有人潜水調査船「しんかい6500」によって2006年に採取されたものである。8つのサイトからそれぞれ2〜3個ずつ、合計18個のスペシメンを用いて実験を行った。異なる形態(枕状溶岩とシート状溶岩)を持つ2つのサイトからの6スペシメン(各3スペシメン)が合格基準に合格した。古地磁気強度のサイト平均値はそれぞれ33.0+-1.0と35.8+-1.7μTであった。サイト平均値が類似していることから、これらの溶岩は短期間に噴出したことが示唆される。これらのサイト平均値は、サンプリングサイトにおける現在の地磁気強度46.0μTの約0.7〜0.8倍である。合格した試料は不合格の試料に比べて、キュリー温度が高く、自然残留磁化強度が低く、飽和残留磁化と飽和磁化の比(Mrs/Ms)が高く、より硬い磁性鉱物のシグナルを示した。2つのサイト平均値と1590年〜現在のIGRF-13+gufm1モデルとの間の主要な比較から、火山体の噴火時期が1590年よりも古いと制約することができる。また、地磁気モデルBIGMUDI4k.1およびArchKalmag14k.rから計算された古地磁気強度曲線と2つのサイト平均値を比較したところ、紀元前7575年〜紀元前1675年または紀元前25年〜1590年でオーバーラップすることから、これらが火山体の噴火時期の候補だと解釈することができる。以上のように、海底環境における10万年より若い火山体の噴火時期は適切な岩石磁気の選択と古地磁気強度の精査により推定可能だと考えられる。