地球の大部分を覆う海洋地殻の代表的な化学組成は主に中央海嶺玄武岩(MORB)によって定義されてきた一方、沈み込む海洋地殻の化学的特徴の理解にはより年代が古く、より深部の地殻構成岩を調べる必要がある。本研究では、北西太平洋海域のプチスポット火山に産する苦鉄質捕獲岩10試料について、オスミウム同位体比、強親鉄性元素および親銅元素を含む微量元素の定量を行った。予察的実験により得られたRe-Osアイソクロン年代は、苦鉄質捕獲岩が白亜紀海洋地殻物質であることを裏付けた。年代に加え、海洋地殻の形成・進化に伴う強親鉄性元素と親銅元素の挙動について議論を行い、沈み込む海洋地殻の化学的性質に制約を与える。