日本海溝や千島海溝から日本列島に沈み込む太平洋プレートの実態把握を目指して、海洋研究開発機構では2009年から大規模な地下構造探査研究を進めてきた。その結果、海洋プレートが沈み込む直前に折れ曲ることに伴い含水化など構造が変質していることが明らかになったことに加えて、実は海洋プレートは従来考えられているほど均質ではないことが明らかになってきた。たとえば、水深約6000メートルの大洋底における数百メートルといった数パーセントの水深差が、実はプレート形成時に由来する海洋地殻の厚さの不均質を示していることなどが分かってきた。そのような不均質な場の一つで最近の火山活動であるプチスポットが見つかっていることは、プレート形成時の太古の古傷が現在の地殻活動にも影響を与えている可能性を示している。