主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
回次: 71
開催日: 2024/09/18 - 2024/09/20
p. 271-
鉱物の単体分離は、原料鉱石(原鉱)を粉砕し有用鉱物を回収するプロセスである『選鉱』の効率を決定づける重要な因子である。これは、粒子に複数鉱物(あるいは複数成分)が混在している状態(片刃粒子)であるよりも、単一鉱物から成る状態(単体粒子)であるほど、選鉱において、理想的な分離が可能となるためである。粒子がある単一鉱物で存在する度合は単体分離度と定義され、選鉱の全体効率や有用鉱物の回収率を決定づけるため、有用鉱物の単体分離度を正確に測定し評価することは、鉱床の継続的な開発判断に必要であるだけでなく、従来廃棄していた低品位鉱石や廃石などの未利用資源の開発可能性の判断に利用できる可能性がある。従来、単体分離度の測定・評価には電子顕微鏡ベースの装置(MLA、QemSCAN等)が広く用いられてきた。同装置では、まず樹脂封入した試料表面の反射電子像を撮影し、粒子の形状と輝度の差に基づいて個々の粒子を自動認識する。次に、各粒子の代表点に対しEDSスペクトルを取得し、ライブラリとのスペクトルマッチングにより鉱物相を同定する。結果として試料表面の鉱物相の2次元分布が得られ、そこから各鉱物の単体分離度等の鉱物分離に資する指数を評価している。しかしながら、鉱物に副成分として含まれる銀などの有用元素のように、鉱物粒子中の濃度が比較的低い場合、既往の電子顕微鏡ベースの装置による測定では、これらの検出が困難になることがある。そこで本研究では、微小域微量元素分析を迅速に行うことができるレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析計(LA-ICPMS)を用い、微小域微量元素に基づいた単体分離分析を試みた。測定試料として銅鉱物を含有する岩石試料粉末を用意し、粒度調整した試料を封入した、樹脂試料表面にレーザーを走査し、位置座標ごとに得られる試料表面の質量スペクトルから、100%規格化法により元素組成を位置座標ごとに計算した。試料を構成する各鉱物相は、相同定に用いる元素組成条件に基づいて、位置座標ごとに分類することで、試料を構成する鉱物相を同定した。結果として、微量元素組成を考慮に入れた鉱物相の2次元分布が得られ、そこから各鉱物の単体分離度等の鉱物分離に資する指数の評価を試みた。