日本地球化学会年会要旨集
2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
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S4 工学や農学と地球化学の接点
水田土壌へのスメクタイト添加による還元的環境下での鉄保持能向上の評価
*伊地知 雄太高橋 嘉夫
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キーワード: 農業, 鉄還元菌, XAFS, 粘土鉱物
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p. 273-

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抄録

農業における化学合成肥料の生産は世界的に増加傾向にあり、窒素肥料の合成には多大な電力を要する。そこで近年では合成窒素肥料に代わり土壌中に存在する鉄還元菌の窒素固定を利用する低環境負荷農業が提案されている。本研究では粘土鉱物の一種であるスメクタイトを鉄源あるいは補助鉄源として提案する。スメクタイト構造中に含まれる鉄は還元され二価になっても溶脱せず、さらには散布された鉄が還元された場合でもスメクタイトへの吸着が期待できる。この効果を実証するため、水田を模擬した土壌カラムにスメクタイトを添加し、鉄流出挙動の違いをX線吸収微細構造解析(XAFS)によって分析する。XAFS測定の結果、特にカラム下層でフェリハイドライトの存在度が高くその位置での粘土鉱物中鉄の二価/三価比が相対的に高くなっていた。これは上層で還元溶解したフェリハイドライトが下層へ流れる途中でスメクタイト中の鉄に酸化されて固定化されたと考えられる。

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