瀬戸内海は、窒素・リンなどの流入負荷削減の施策効果で水質改善が大幅に進んでいるが、このリンや窒素などの栄養塩の減少が一部海域での養殖ノリの色落ちや漁獲量の減少に繋がっている可能性が指摘されている。そのため、栄養塩供給を目的として、海底堆積物を人為的に巻き上げて堆積物中の栄養塩を海水中に再溶出させる海底耕耘などが検討されている。しかし、海底耕耘は、栄養塩だけでなく堆積物中に存在する重金属元素も海洋環境中に放出する可能性がある。本研究では、可溶性の重金属元素量を評価することを目的とし、逐次溶解法によって大阪湾表層堆積物を5つの画分に分け、それぞれの画分の主成分および微量成分元素の定量分析を行った。