日本地球化学会年会要旨集
2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
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G2 環境地球化学・放射化学
汽水域における河床堆積物および間隙水中のクロムの存在形態分析と移動性評価
*諌本 和士伊藤 茜山中 遼太郎谷水 雅治
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キーワード: クロム, 汽水域, 堆積物, 間隙水
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p. 35-

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抄録

クロム (Cr) は表層環境で主に+6価と+3価の2つの酸化数をとり, 酸化還元度や塩濃度など物理化学条件の変動が大きい汽水域では, 河川水-堆積物間のCrの挙動についての知見は乏しい。本発表では, 間隙水中の腐植物質との錯生成能が高い重金属元素とCrの溶存濃度の相関性,堆積物中のCrの存在形態を調査し, 汽水域における河床堆積物-間隙水間のCrの分配挙動について考察する。分析の結果, 間隙水中のCr濃度は河川水中のCr濃度よりも高く, 低いCr(VI)/全Cr比を示し, Cr(III)は一般的に堆積物表面に吸着され易いことから, Cr(VI)とCr(III)(aq)以外の溶存形態が支配的であることが示唆された。低いCr(VI)/全Cr比 (約 1%) を示した試料において, 限外ろ過 (10 kDa) を行った結果と, 腐植物質との錯生成能が高いCu, PbとCr濃度が高い相関係数 (>0.6) を示したことから, Crは腐植物質との錯体として溶存していることが示唆された。

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