主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
回次: 71
開催日: 2024/09/18 - 2024/09/20
p. 35-
クロム (Cr) は表層環境で主に+6価と+3価の2つの酸化数をとり, 酸化還元度や塩濃度など物理化学条件の変動が大きい汽水域では, 河川水-堆積物間のCrの挙動についての知見は乏しい。本発表では, 間隙水中の腐植物質との錯生成能が高い重金属元素とCrの溶存濃度の相関性,堆積物中のCrの存在形態を調査し, 汽水域における河床堆積物-間隙水間のCrの分配挙動について考察する。分析の結果, 間隙水中のCr濃度は河川水中のCr濃度よりも高く, 低いCr(VI)/全Cr比を示し, Cr(III)は一般的に堆積物表面に吸着され易いことから, Cr(VI)とCr(III)(aq)以外の溶存形態が支配的であることが示唆された。低いCr(VI)/全Cr比 (約 1%) を示した試料において, 限外ろ過 (10 kDa) を行った結果と, 腐植物質との錯生成能が高いCu, PbとCr濃度が高い相関係数 (>0.6) を示したことから, Crは腐植物質との錯体として溶存していることが示唆された。