主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
回次: 71
開催日: 2024/09/18 - 2024/09/20
p. 40-
1986年4月のチョルノービリ原発事故後のヨーロッパのバルト海・北海・ノルウェイ海と、2011年3月の福島第一原発事故後の東日本の太平洋側海域において、表層海水中のセシウム-137 (Cs) 濃度の時間変化を比較した。各事故後1年から9年での実効半減期は、日本側で最も短く(1.6-4.7年)、ヨーロッパの北海では4.9年、バルト海では14.4年であった。Cs濃度の減少は海域の地形に影響し、また、海水の希釈拡散効果は日本側でより大きかったことが考えられる。更にチョルノービリ原発事故後9年から30年のデータからのCsの実効半減期は日本と同様な海洋構造を持つ北海では8.4年と減り方が緩やかであった。これは、河川の影響と、海域と希釈水の放射能濃度差が小さいことによるCs濃度の減少の遅れが原因であると考えられる。