日本地球化学会年会要旨集
2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
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G2 環境地球化学・放射化学
東日本太平洋側及び欧州の海水中における放射性セシウム濃度の長期変遷
*高田 兵衛
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キーワード: 海洋放射能, 海底地形
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p. 40-

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抄録

1986年4月のチョルノービリ原発事故後のヨーロッパのバルト海・北海・ノルウェイ海と、2011年3月の福島第一原発事故後の東日本の太平洋側海域において、表層海水中のセシウム-137 (Cs) 濃度の時間変化を比較した。各事故後1年から9年での実効半減期は、日本側で最も短く(1.6-4.7年)、ヨーロッパの北海では4.9年、バルト海では14.4年であった。Cs濃度の減少は海域の地形に影響し、また、海水の希釈拡散効果は日本側でより大きかったことが考えられる。更にチョルノービリ原発事故後9年から30年のデータからのCsの実効半減期は日本と同様な海洋構造を持つ北海では8.4年と減り方が緩やかであった。これは、河川の影響と、海域と希釈水の放射能濃度差が小さいことによるCs濃度の減少の遅れが原因であると考えられる。

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