日本地球化学会年会要旨集
2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
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G3 海洋の地球化学
ベーリング海表層おける137Cs濃度の経年変動
*光主 隼大井上 睦夫長尾 誠也野村 大樹熊本 雄一郎
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p. 65-

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抄録

人工放射性核種である137Csは1950年代からの大気圏内核実験由来に加え、福島原発事故においても大量に海洋環境に放出された。本研究では、137Csを化学トレーサーとして利用し、ベーリング海~北極海表層の海水循環を調査した。2022-2023年に北海道大学のおしょろ丸とJAMSTECみらいで海水試料を採取し、AMP沈殿法と低バックグラウンドγ線測定法により137Cs濃度を求めた。その結果、2017年から上昇を続けていたベーリング海表層の137Cs濃度が、2022年以降に減少に転じたことが明らかになった。同緯度域でも大きな水平濃度変動がみられ、ベーリング海の複雑な海水循環が示唆された。本研究は、水塊の天然トレーサー228Ra濃度も加え、本海域における溶存成分の循環プロセスについて議論する。

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