日本地球化学会年会要旨集
2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
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G3 海洋の地球化学
ダブルスパイク法を用いた高感度分析による海洋動物プランクトン鉄安定同位体比の種多様性
*長谷川 菜々子栗栖 美菜子高橋 一生児玉 武稔平山 耕太郎高橋 嘉夫板井 啓明
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p. 64-

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抄録

北西太平洋の親潮・黒潮混合域において捕集された動物プランクトンの鉄安定同位体比 (δ56Fe)分析を実施した。VMPSネットおよび飼育ネットにより捕集された動物プランクトンについて、oxalate-EDTAにより試料表面を洗浄後、高純度硝酸で分解、ダブルスパイク法を用いてMC-ICP-MSにより安定同位体比を測定した。4採取点の0 - 200m 間にてネットで捕集されたバルクの動物プランクトン試料のδ56Feは-0.20‰から0.25‰と比較的小さな変動幅に留まり、表層海水溶存鉄の同位体比の既報値と同程度であった。一方で、種別のメソ動物プランクトンはNeocalanus cristatus: -0.76±0.01‰, Euphausia pacifica: -0.82±0.05‰, Cyphocaris spp.: -2.24±0.26‰, Salpidae: -0.14±0.12‰となり、種ごとに明確な同位体比差があること、Salpidae以外の種では表層海水やバルク動物プランクトン試料よりも軽い同位体を濃縮していることが判明した。これらのことは、低次栄養段階生物間での鉄の移動を議論するためには、動物プランクトンの種レベルでのδ56Feの測定が不可欠であることを示唆している。

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